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ど田舎に棲む

ど田舎に棲む

小ボケ弟その2

ワタシの住んでいた町は余りに小さくて、一応病院があるのだが、そこでは出産を扱っていなかった。
常勤の医師が一度に3人働いていないと、お産はできないらしい。
もちろん緊急の場合は仕方ないのだが。

なので出産にはそこから車で3時間のアンカレッジの病院にいかなければならない。

そして町には産婦人科のお医者さんはいなかった。
ワタシの勤めていたクリニックに毎月一度産婦人科の先生がアンカレッジから出張診療にやってくる。
はっきり言ってわざわざ検診に毎月アンカレッジに行かない限り、この人しかいない!!!状態なのだった。

この先生は一人でやってくるので、診療のアシスタントなどを時々ワタシがやっていた。
内診などをする時は、セクハラなどで訴えられたりするのを避ける為、必ず二人が部屋に入ることになっている。
そして患者さんといろいろ会話などしつつ、先生が必要な器具を用意したり渡したり、そして自分の番になると診療台の上でオマタをおっぴろげたりと、ちょっとワタシは複雑な立場にいたのであった。

しかしこの助手から患者への切り替えは、別にワタシにとっては苦ではなかった。

みなさんはどうかわからないが、ワタシは妊娠すると、恥じらいというものを感じなくなる。
お腹のアカンボのためなら、仕事仲間の男性にでもアソコを見られても平気になる。
相手だってそれが仕事なんだしねぇ。

しかしこの先生、なんともかっこいいのであった。
今はとっても不気味になっているが、若かりし頃の細川俊之を外人にしたらあんなカンジ~~~、みたいな。
当時40代前半というところだろうか、ソフトな物腰の素敵なオジサマなのである。
白髪が少し混じった豊かな髪に、いつもスタイリッシュだけどカジュアルな格好をしていた。

内診してもらいながら、何度彼と二人の(⌒ー⌒)ムフフなシーンを想像してしまったことか・・・(ダンナ、ごめんよ)


ま、それはいいとして・・・

ワタシの出産予定日は2月10日だった。
真冬のアラスカ・・・である。
そしてアンカレッジまでの一本道は、雪崩の起こりやすい急所などがいくつかある、数箇所を残しては人気もほとんどない所を走っているのであった。

大雪になれば道は閉鎖されてしまうし、昼間数時間しか日が射さないし、夜にはヘラジカが出てきたりするし、もしタイヤが滑って道端に突っ込んでしまっても、他の車がしばらく通らなかったりするのである。

なので産気づいてからアンカレッジに向かうのは危ない、というので、医者は4週間前からアンカレッジで待機するのをすすめる。

・・・ちょっと無理だよね・・・

一応一家の主婦だし、3歳児(大ボケ兄ね)抱えてるわけだし。

いつアンカレッジに向かうか、と言うのではいつもダンナと話し合いになったが、なかなか結論が出なかった。

そして32週を迎えた時。

何故か陣痛来ちゃうし~~~!
それも5分おきだったり~~~!!

勤め先のクリニックの先生に電話して、内診してもらおうかと思ったが、時間がもったいないので早く出発しなさいと言う。

えらいこっちゃ、と思いながら、適当にバッグを詰めて出かける準備をするが、一体どうやってアンカレッジまで行けばいいのだろう・・・?

ダンナの船はその時パトロールに出かけており、2、3日は帰ってこないことになっていたからである。



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